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上村 紗江子バージョン

上村紗江子からの手紙

「何かであらねばならぬ人」というのは、なんと厄介なものでしょう。
きっと初めは「こうありたい」という願いであったものが、
「こうあらねば」続かぬようになり、「ならぬ、ならぬ」と追い込む果てに
道ならぬ道へ迷い込む。
道ならざれば飛ばざるを得ず。
そうして貴方は今日も2階の窓から外へと足を踏み出すのでしょう。
瞬間(せつな)に空を想い、瞬時にして地と対面する。

ねえ?やはり「厄介」と云う他ありませんでしょう。

殿方の勘違いに一度きちんと申し上げましょう。
女は、そんな「厄介」に惚れるわけではございませんよ。
矛盾に矛盾で挑もうと抗う時に発する 奇妙な美しさ。
貴方がたのように派手なアプロオチはせぬものの、
私たちもその美しさに魅せられ、憧れているのやもしれません。
そして、ある時には焦がれるばかりにただただ「じいっと」
それを眺めていたくなる……。

女を不思議とお思いですか?
いいのです。
漂うこと、は、女にだけ許された 在り方 のひとつなのですから。

「漂う女」と「ただ酔う男」

  …………何だかお上手に言いすぎました。どうぞご免あそばして。

圭吾様
                     彼方より   
                            さえ子